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図−13 高濃度空気圧送工法の施工概要

Fig-13. General description of the high−density air compressed transport process

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図−14 圧送システム(タンク方式)概念図

Fig-14. General description of the air-compressed transport system(tank type)

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図−15 圧送システム(スクリュー方式)概念図

Fig-15. General description of the air-compressed transport system(screw feeder type)

す。タンク方式は2個のタンクに軟泥上を入れ、それを交互に圧縮空気で排送する工法である。これまでごく小規模のものについては湖沼やダムなどで実績があり、熊本港で実用化されたものはこれを大型化、システム化したものである。図−15にスクリューフィーダー方式の圧送システム概念図を示す。この方式の特徴はタンク方式が軟泥土をバッチ的に圧送するのに対し、連続的な圧送が可能なことである。バックホーでホッパーに揚土された土砂はまずスクリーンにかけられ、ゴミなどの混在物を除去し、泥槽で撹拌したのちスクリューフィーダーで管路部に押し出される。次に、サンドポンプの加圧装置で排送管に送られ、この入り口から注入される圧縮空気により軟泥土と空気部が交互になったプラグ流を形成しながら空気の膨張により移動し、吐出口から吐き出されるものである。空気注入ノズルより注入される空気圧は最大7kgf c?であり、使用管径はφ300〜350である。
5−3. 試験工事および施工実績
本工法の現場での適用性を確認するため平成2年末に熊本港で試験工事を実施した。圧送時間当りの土量は公称能力に対して平均で88〜96%となっており、含水比は圧送前と比較し20%程度の増加にとどまり、吐出口で90%程度となっている。これは、機械的に必要となるシール水としての加水と土運船内の土水を土砂とともにバックホウですくいホッパーに揚土したためだと考えられる。
熊本港での施工実績では、地山含水化的65%の砂混じりシルト(概ね砂20%、シルト60%、粘土20%)に対して、吐出口では含水比が80〜90%であり、施工効果は公称能力(600m3/h)に対して平均的には90%程度であり、当初の目標を達成している。
6. おわりに
熊本港では、現在-10m岸壁に対して地盤改良の軽減による経済化と浚渫上の利用を念頭においた新形式の係船岸の開発・実用化を目指し検討を進めている。最後に技術開発に向けてご指導いただいた関係各位に深甚なる謝意を表する次第である。
参考文献)
1)木原力ら:軟弱地盤着底式防波堤の水理特性第34回海岸工学講演会論文集.pp.631〜635,1987
2)木原力ら:軟弱地盤着底式防波堤の開発について。第35回海岸工学講演会論文集.pp.742〜746.1988
3)小笹博昭ら:熊本港における航路埋没防止潜堤の実証試験について。39回海岸工学講演会論文集.pp.471〜475.1992
4)Fluid mudを考慮した三次元シルテーション予測モデルについて。第41回海岸工学講演会論文集.pp.1011〜1015
5)嶺泰宏ら:熊本港高濃度圧送工法による浚渫埋立工事、マリン・ボイス21.No.164.PP.35〜44.1992
6)渡邊具能ら:軟弱な干潟における港湾の建設。土木学会論文集.No480.IV-21.pp.12-22.

 

 

 

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